2つのデータの関係を確認するのに使われるグラフが「散布図」でした。

散布図を見れば、2つの変数に関係があるかどうか、相関関係の有無を判断できます。
しかし、グラフの見た目で判断すると、人によって判断結果が異なることもあり得ます。
今回は相関関係の有無を定量的に判断できる、相関分析について解説します。
1. 相関分析とは
対になった2つのデータ
相関分析を行うデータは、以下の2種類に分けられます。
1)
例えば、勉強時間
2)
例えば、気温
2. 相関係数とは
さて、相関分析を行う第一歩は散布図を描くことですが、2つのデータの関係の強さを数値で表す指標が相関係数
相関係数
散布図と相関係数の例を以下に示します。
散布図 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
相関係数 |
両者の関係が直線に近づくほど、相関係数の絶対値は1に近づくことが分かります。
相関係数を求めれば、相関の強さを散布図の見た目だけでなく、数値で議論することが可能です。
3. 相関係数の求め方
相関係数は、Excelで簡単に計算できますが、どのような計算をしているのかを知りたい方のために、手計算の方法も示します。
以下のデータは、ある製品の長さと重量を測定したデータです。
No. | 長さ(cm) | 重量(g) |
---|---|---|
1 | 20.96 | 53.5 |
2 | 21.28 | 53.6 |
3 | 21.09 | 53.6 |
4 | 21.48 | 54.6 |
5 | 22.0 | 55.8 |
6 | 21.64 | 55.2 |
7 | 21.59 | 55.2 |
8 | 21.52 | 54.8 |
9 | 21.75 | 54.8 |
10 | 21.94 | 55.8 |
11 | 21.31 | 53.4 |
12 | 21.52 | 54.1 |
13 | 21.58 | 54.5 |
14 | 22.14 | 56.4 |
15 | 21.32 | 54.9 |
長さ

このデータについて、相関係数を求めてみましょう。
3-1. Excelを用いた相関係数の求め方
Microsoft Excelを使えば、簡単に相関係数を求められます。
Excelには「CORREL」という相関係数を計算してくれる関数があるので、この関数を用いると相関係数

初めて使うときはアドインの操作が必要ですが、データ分析ツールにも「相関」のメニューがあり、こちらでも相関係数を求められます。
複数の変数同士の相関係数をまとめて見たい場合は、データ分析ツールを使うのが簡単です。
3-2. 手計算による相関係数の求め方
相関係数の導出過程を詳しく見ていきます。
相関係数
相関係数:
各項は、以下のように計算します。
以上の式に事例のデータを代入すると、以下のようになります。
したがって、相関係数
得られた相関係数
4. 実践のためのアドバイス
相関分析では、2つの変数の関係性を相関係数で定量化できます。
特に、要因系と結果系の散布図を作成し、相関係数が大きいと因果関係があると判断しがちですが、それは必ずしも正しいとは言えません。
因果関係があると相関係数は大きくなりますが、その逆は真とは限らないことに留意しましょう。
5. おわりに
今回は、相関分析について解説しました。
相関の強さは相関係数で表せ、その算出方法を理解いただけたと思います。
相関の強さを定量的に評価したいときは、相関係数を求めてましょう。
なお、相関分析を行うにあたっていくつか注意事項があるのですが、それは次の記事でまとめて解説します。
