簡単なグラフでデータを活かそう:データ可視化の方法4選

データを整理して第三者に説明する場合、生データのままで説明してしまうと聞く側の理解を得られにくいことがよくあります。
また、データを採取したときに、データ解析する前にデータの傾向を見ておきたいということもあるでしょう。
このように、ビジネスの世界ではグラフを使ってデータを見える化したい場面はしばしばありますが、世の中にはさまざまな種類のグラフがあり、どのグラフを使えばよいか迷うことがあります。

そこで、今回はさまざまな種類があるグラフについて代表的なものを解説します。

この記事で分かること

・グラフを作る目的
・グラフの種類と使い方
・目的に適したグラフの選び方


1. グラフとは

グラフとは、数値の大きさや変化を視覚的に把握できるようにした図表のことです。
棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなどさまざまな種類があるので、何を伝えたいのかに応じて適切に使い分ける必要があります。

1-1. グラフを使うメリット

グラフを使う1つ目のメリットは、自分が伝えたい内容を言葉を使わずに相手に伝えられることです。
例えば、下表は気象庁が公開しているデータを使って、2022年の名古屋市の平均最高気温と平均最低気温の推移をまとめたものです。
夏は暑くて冬は寒いことは読み取れるものの、じっくり見ないと傾向は分かりません。

表のデータを折れ線グラフで表すと以下のようになります。

グラフをじっくりと見なくても、夏の最高気温は30℃を越えて、冬は0℃近くまで下がることがひと目で分かりますね。
このようにグラフを使うと、データを一瞬で第三者に伝えられます。

2つ目のメリットは、グラフは頭に残りやすいことです。
先ほどのグラフを一度見れば、山型の形状で夏は暑く冬は寒いといった情報を覚えておけます。
これは、グラフは数値を絵に置き換えて、記憶しやすい形で表現しているからです。

1-2. グラフを使うデメリット

グラフは理解しやすく頭に残りやすいというメリットを紹介しましたが、これは適切なグラフを使った場合に言えることです。
Microsoft Excelなどの表計算ソフトを使えば、誰でも簡単にそれなりのグラフを作れるにもかかわらず、目的に合ったグラフを選ばないと、数値の表以上に第三者に伝わらなくなってしまうことがデメリットと言えます。

例えば、先ほどの名古屋市の平均最高気温を、折れ線グラフではなく円グラフで表すと以下のようになります。

5月から8月で全体の50%を占めていることは分かりますが、きっと「それで?」と思われたことでしょう。

円グラフは内訳を表したいときに用いるべきグラフですが、それを知らないで適当にグラフを選んでしまうと、このように意味のないグラフができ上ってしまうのです。

「言いたいこと」に合わせて適切なグラフを使わないと、それは単にデータをグラフにしただけであり、結局何を言いたいのか分からなくなることに注意しましょう。

2. 代表的なグラフと使い方

世の中にはさまざまな種類のグラフがありますが、すべてを紹介できないので、ここではビジネスの世界でよく使われる基本的なグラフを紹介します。

2-1. 棒グラフ

もっともよく見かけるグラフは、棒グラフではないでしょうか。
棒グラフとは縦軸にデータ量をとり、棒の高さで数値の大小を表したグラフです。

この棒グラフは、主な都府県の面積を表したものです。

棒グラフを見ると、新潟県が最も大きい、東京都と大阪府は同じくらい、といったことが読み取れたのではないでしょうか。
棒の高さはデータに比例しているので、棒の高さを比べてデータ量の違いを直感的に把握できます。
つまり、棒グラフはデータを比較するときにとても重宝するグラフです。
裏を返すと、棒グラフで最も重要なことは、必ず複数のデータ項目を並べるということです。
データ項目が一つだけの棒グラフを見ても、何かと比較できるわけではないので、だから何?と思ってしまいますね。

また、目的に応じて項目の順番も考える必要があります。
先ほどのグラフは、北から順番に並べていますが、面積の大小を議論したいのであれば、面積の大きい順に並べるとよいでしょう。

また、時系列データを表すには、後述する折れ線グラフがよく使われますが、棒グラフを使うこともあります。
ただし、棒グラフで時系列データをグラフ化するときは、必ず時間の流れが左から右になるように並べてください。

【時系列データを棒グラフで表した例】

(出典:総務省統計局「プレゼングラフ作成のポイント」)

2-2. 折れ線グラフ

点と線の高低で数値の大小を表したグラフが折れ線グラフです。
折れ線グラフは、時系列データを見える化するのに用いられます。

この折れ線グラフは、愛知県の交通事故件数の推移を表したものです。

(愛知県「県政情報」より作成)

折れ線グラフを見ると、2004年をピークに事故件数は減っている、2014年頃から減り方が大きい、といったことが読み取れます。
折れ線グラフは、点の高さと線の傾きで数値の大きさと傾向を見ることができるので、データの推移を表すのに最適なグラフです。

先ほど、時系列データを棒グラフでも表せると言いましたが、長期の傾向を見たい場合は、棒グラフではなく折れ線グラフの方が傾向は分かりやすいので、長期のデータは折れ線グラフを使うようにしてください。

2-3. 円グラフ

全体を円で表し、各項目の全体に対する割合を扇形に分けて表したグラフが円グラフです。
時計の12時の位置を起点にして、割合の大きい項目から順番に時計回りに並べるのが一般的です。

この円グラフは、令和3年の愛知県農業産出額の内訳を表したものです。

(東海農政局「農林水産統計」より作成)

円グラフを見ると、野菜の産出額が最も多く、野菜と花きで全体の半数を占めていることなどが分かります。
円グラフでは、割合の程度を角度に変換して面を作り、全体が360°(100%)になるように構成されています。
面の大きさつまり、角度の大きさに着目して解釈するのが一般的で、円グラフは内訳を表現したいときに用います。

円グラフでは、すべての項目をグラフに入れると、項目が多すぎて見にくくなることがあります。
その場合は、割合の少ない項目をまとめて「その他」に入れ、割合が他の項目より大きくなっても、必ず最後(左上)に置くようにしてください。
ただし、あまりに「その他」の割合が大きくなりすぎると、もう少し細かく分けるべきと思われる恐れがあるので、「その他」は最大で15%程度にとどめるとよいでしょう。

2-4. レーダーチャート

複数の項目の原点を中心にして、中心から数値の大きさに比例した直線を伸ばし、隣り合う項目のプロットを線で結んだグラフがレーダーチャートです。
折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフを一つにしたようなグラフですね。
複数のデータをプロットして、データ同士を比較したいときによく使われます。

このレーダーチャートは、令和3年の岐阜県と三重県の農業産出額の内訳を比較したものです。

(東海農政局「農林水産統計」より作成)

レーダーチャートを見ると、岐阜県は野菜と花きの産出額が多く、三重県は米と鶏卵が多いことなどが分かります。
三重県の「その他」の内訳も気になりますね。

レーダーチャートでは全体のバランスも分かります。
例えば、上の例では両県ともまんべんなく生産しているわけではなく、偏りがあることがひと目で把握できます。
レーダーチャートでは、岐阜県と三重県の傾向の違いといった系列間の比較と、岐阜県の野菜、花き・・・の産出額の違いといった系列内の比較が可能なので、グラフを作る前に作成の方針をよく考えておいてください。

3. 実践のためのアドバイス

データを可視化するグラフにはさまざまな種類がありますが、グラフで見たいことと使用するグラフが合っていないと、せっかくグラフ化しても、考察が難しくなります。
漫然とグラフを作成するのではなく、各グラフが何を表すことを得意としているかをしっかり把握した上で、適切なグラフを選択してください。

4. おわりに

今回は、ビジネスの世界でよく見る代表的なグラフについて解説しました。
データを取ったときデータをグラフで表すだけで、複雑な解析をしなくても目的を達成できることがあります。
また、複雑なデータ解析を行う前にグラフを作成することで、傾向の有無や異常値の有無などを容易に把握できます。
そして、第三者に説明するときも、グラフを効果的に使うことで、自分の伝えたいことを的確に伝えられる可能性が高まります。

データを取ったら目的に応じて適切なグラフを選択し、データを見える化することを意識してください。

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